空港から首里までを結ぶ沖縄都市モノレールは今月10日に開業から丸3年を迎えます。車社会の沖縄で渋滞の緩和を一番の目的に開通したモノレールは乗客の数も安定し、駅周辺の町の活性化にも一役買っています。
気になる路線の延伸計画も含めて、岸本記者が取材しました。
観光客『神戸から来たんですけど、一回乗ってみたいなぁと思っていたのと、子供もすごい乗りたがっていたので』『駅ごとに音楽が違うとか、ガイドブックで見て』『すべての町並みを15分から20分で見られるから、最高に楽しいよ』
2003年8月に開業した沖縄都市モノレールは那覇の景観を楽しみながら、国際通りや首里城に行けることから観光客には人気。ここ数年の観光客数の増加に伴うような形でモノレールの乗客数も順調に伸びてきました。
駅周辺には、モノレールを利用する観光客を狙ったステーションホテルが乱立。現在、駅の周辺にある22のホテルのうち実に14のホテルがモノレールの開通後にオープンしました。
おもろまち駅のすぐそばにオープンしたこのホテルは利用者の大半が、出張中のビジネスマンや観光客です。
スーパーホテル那覇新都心 久保茜さん『やはりモノレールで車を借りずに利用できるということでやっぱりモノレールで来ていただけますね』
またモノレールの開業を見越して5年前にオープンしたこのホテルは。
ハイパーホテル那覇 平良一さん『以前(モノレール開業前)と比べると、特に空港からのご予約がかなり多くなりまして』Q稼働率は?『85%前後くらいかと思いますが』と、極めて高い数字。
また、駅周辺のアパートやマンションはその利便性から家賃が値上がりしています。
大東建託株式会社 田中支店長『首里から新都心、赤嶺、金城、この地域の家賃の相場は3%から5%上昇傾向にあるということは言えます』『また入居の状況も非常によくて、実際キャンセル待ちといったような建物も物件としてかなりある』
この3年でモノレール沿線に112棟、1800部屋以上の物件を建設した国内最大手の大東建託。借り手は県内への移住者が多いといいます。
大東建託株式会社 田中支店長『特に大都市圏に住んでる方が沖縄に移住する場合には時間に正確なモノレールの沿線を好まれる方が多いと思います』
人を集め、町の活性化にも役立っているモノレール。しかし、肝心の県民の利用はというと、いま一つのようで定期券の発行数も伸び悩んでいるのが現実。そこで沖縄都市モノレールでは、安里駅のバイパスの下や古島駅に専用の駐車場を設け、定期券の購入者に3000円で駐車場を貸し出すサービスを開始。
また、小禄駅では、ジャスコとタイアップして定期券とジャスコの商品券1万円分を両方購入すれば、一ヶ月、駐車場が無料になるサービスをスタート。キャンセル待ちが出るほどの人気となっています。しかし、モノレールには沖縄ならではの難題もあります。
『問題点はね塩害!』
海に囲まれた沖縄では、車体がさびるのが本土のモノレールと比べて5倍程早いのです。
『塩害で腐食してるんですけど、そういったところの補修ですね』Qけっこう錆はひどい?『アルミが酸化して腐食しているものですから、その辺をちゃんと補修しておかないと』
また、塩害の補修のほかに、車両の点検にも膨大な経費がかかっています。
『点検に約2000万円以上ですね。一編成にこれだけ経費がかかります』『トータルでは3億弱ですね』
およそ22億円の営業収益を圧迫する様々な支出。しかし湖城社長は、さらに経費をかけてでも首里駅からモノレールの路線を延ばしていく姿勢を崩しません。
『高速まではね延伸してね採算取れる取れないは別問題としてそれくらいのね、行政としての役割、県民、市民としてのやるべきものは向こうまでは最低限じゃないですか』
沖縄自動車道の西原インターか那覇インターのどちらかへの延伸に強い決意を見せます。
しかし、路線の延伸は乗客数の増加が前提条件。モノレールを県民の足として確かな軌道に乗せる為には、モノレールを『沖縄の財産』として育てていく県民の気持ちが必要です。
沖縄都市モノレールも県民の利用促進のために様々な策をとっているようですが、今のリポートにもありましたが、県民一人ひとりが『モノレールを利用してみようかなぁ』ていう気持ちがもっともっと出てくれば、路線の延伸にも弾みがついてきますよね。
今月18日『沖縄都市モノレール延長検討委員会』の初めての会合も予定されていて延伸計画がより具体的に話し合われます。
公共の交通機関であるモノレールをみんなで応援したいものです。以上、Qリポートでした。