うちなーむーんです。釣りをする方ならどなたでも、いくつかそろえている「エギ」。ユニークな形のものから色鮮やかなものまで、まさに多種多様。そのエギづくりの名人が、宮古島市にいらっしゃいます。一つ一つ全ての工程を手作業でおこなうさまを取材しました。
訪れたのは池間島のとある民家。軒先でエギ作りに打ち込んでいるのが名人・嵩原政敏さんです。本格的に作り始めて10年以上。カタチを掘り出すことから、重りをつけ、針の一本一本に至るまですべて手作業。
これが、嵩原さんのつくるエギ。流れるような美しい形でありながら、どことなくユーモラスな表情。一つづつ丹念に色づけされたエギを「部屋のインテリアにしたい」と言う人がいるのも納得できます。
小さな木切れを小刀で削り、エギ独特の流線型に仕上げます。作業は勘と経験。そのエギにラッカーで何度も色を重ねますが微妙なタイミングで、色合いは変わってきます。これも長年の経験。子供の頃、みようみまねで作り始めたエギですが、いまでは「よく釣れる」と釣り人の間で評判となり、注文もおおく製作におわれる毎日です。
嵩原さん「嬉しいかな、すこし。よく釣れると言われると嬉しいね」
その声にこたえるべく、木を彫り、針をまげてエギ作りに励む嵩原さん。とくにイカ釣り専用の針をつくるのは根気の要る作業ですが、イカの釣れる瞬間を思うと、その作業も嬉しいといいます。
嵩原さん「エギにかかった瞬間のあの手ごたえが一番いいみたい、イカ釣りは。(獲物が)大きくなるとやり取りがね、やっぱり」
この時期、宮古の海では「アウキャ」と呼ばれる小型のアオリイカがよく釣れます。自分の体ほどもある嵩原さんのエギを追いかけ、釣り上げられるアウキャ。
この季節、嵩原さんの作ったエギを手に、海に出かける人も多くなることでしょう。釣り人たちの一瞬のために、嵩原さんは今日もエギづくりにはげんでいます。