今月中にも地対空の迎撃用ミサイル、パトリオットを嘉手納基地に配備する計画のアメリカ軍。
これは嘉手納基地を守ると同時に、7発のミサイルを発射した北朝鮮を警戒する意味合いもあることは明らかですが、アメリカ軍はパトリオットの他にも、沖縄の基地機能の強化のため、新しいヘリコプターの配備を計画しています。
日米の防衛拠点としての沖縄の重要性をより強調するアメリカ軍ですが、このヘリコプター、実はきのうもイギリスの航空ショーにアメリカから向かう途中に不時着するなど、安全性で大きな問題があります。岸本記者の報告です。
今月5日、アメリカと日本を挑発するように7発のミサイルを発射した北朝鮮。これに対応するため、嘉手納基地からは情報収集のための電子偵察機が次々に飛び立ち周辺住民の緊張も高まります。
住民「(攻撃)目標にされたら大変ですね」「攻撃された時に一番犠牲になるのは私達県民ですから、危険を感じる」
アメリカ軍は北朝鮮の脅威に対抗するため、地対空の迎撃ミサイル、パトリオットの嘉手納基地への配備を急いでいて、今月中には政府間で正式合意した後、詳細な配置場所などを発表する予定です
嘉手納 宮城町長「我が国の特に危機感をあおってきた人たちにとっては一つのチャンスになってくる訳で」「(パトリオットの)配備計画を早める一つの口実になってしまった」
北朝鮮のミサイルは軍備強化の口実と語る宮城町長。しかし、アメリカ軍はさらなる基地機能の強化も目論んでいます。
垂直離着陸機オスプレイです。
オスプレイはアメリカ軍の新型輸送機ですが、実験段階から事故が多発。2000年には2件の墜落事故が起こり、23人が死亡。その翌年には『安全性に深刻な問題がある』として飛行が中断されたこともありますが、2002年には飛行を再開。
ことし3月にもノースカロライナ州でエンジン点検中に突然離陸し、地上に落下する事故を起こしています。アメリカ軍はこのヘリを沖縄に配備する計画です。
在沖米軍 ウエーバー四軍調整官「暫定的にではあるが、2014年から2016年の間にオスプレイを沖縄に配備する予定だ。日米合意では2014年までに普天間基地の代替施設をつくると決めた。予定通り代替施設が完成したとき、そこでオスプレイが使われることになる」
在沖アメリカ軍のトップが辺野古の新基地への配備を明言したオスプレイ。しかしこの危険なヘリに対し、日本政府の対応ははっきりとしません。
辻本議員「本当にオスプレイや戦闘機の配備は未来永劫ないのですか?」
小泉総理「オスプレイについては将来、米海兵隊が使用している輸送ヘリに代替していく予定であると承知しているが、米国政府から何ら具体的な計画を有していないと回答を得ていると承知している」
記者「オスプレイの配備について知事はどう受けて止めているのか?」
花城知事公室長「これについては私がお答えします。まだ政府から正式に配備の連絡をうけていない。現時点でオスプレイについて、特段のコメントは申し上げられない」
目前に迫った危険に対し、見て見ぬ振りをする政府と県。しかし四軍調整官はその危険性を認めたうえでこう発言します。
ウエーバー四軍調整官「パイロットが飛行ルートを外れたり、住宅地上空を飛ぶといった間違いを犯すことは、住宅地に囲まれた普天間基地と比べると少なくなる」「しかし、絶対に間違いを起こさないということはできません」「人間は間違いを起こすものです」
アメリカ軍再編の最終報告で沖縄の負担軽減に大きな成果を出したとする日米両政府。その一方で、住民の安全や不安を無視する形で基地機能が強化されていることも事実なのです。
オスプレイは垂直に離着陸できるため、小さなヘリポートだけでも十分なはずなのですが、日米両政府は滑走路の建設にこだわり、結局V字型の2本の滑走路という案にまとまったわけです。
これは裏を返せば、辺野古にはそれだけいろいろな戦闘機や輸送機が飛来する可能性があるということにもつながります。
アメリカ軍のトップも危険性を認識し、欠陥が多い飛行機であるということもわかっているわけですから、沖縄国際大学で起きたような事故を二度と繰り返さないためにも、政府や県には毅然とした態度でこのオスプレイの配備の問題にのぞんでもらいたいものです。