毎年お伝えしているバリアフリーダイビングの全国大会がことしも開かれました。身体の不自由な人と健常者がダイビングを通して交流するものですが、ことしはこれまでと違った試みがありました。
バリアフリーダイビングにはボランティアでサポート役を務めるサポートダイバーの皆さんの活躍が欠かせないのですが、その技術を習得する講習会もありました。私がそのサポートダイバーに挑戦しました。
今年で9回目となるバリアフリーダイビング全国大会。全国各地からゲストと呼ばれる身体の不自由な方や高齢者など52人そして、サポートをするボランティア160人が参加しました。サポートをするボランティアの仕事は懇親会の前から始まっています。
ボランティアの人たちはこちらで介助やコミュニケーションの仕方、障害に応じての注意点などが入念に話合われています。
今回サポートダイバーを目指すのは7人。看護師や理学療法士など福祉関係の仕事やダイビングのインストラクターなど様々です。
まずは、海でのサポートの前に車椅子の使い方や実際に疑似体験をしてどんな介助が快適なのかを学びます。
翌日、潜る前にゲストの方たちが医師から体調チェックを受けている間、サポートダイバーはアイマスクを使い船のある場所まで向かいます。
平田さん「担当させて頂きます平田智恵子です。手を触っていいですか?右手を前に出して下さい」
比嘉「よろしくお願いします」
平田さん「車の方に移動するんですが、右側、左側どちらがいいですか?足元が段差になっているので少し高めに足を上げて下さい」
比嘉「声をかけてもらうことで安心するんですけど、一歩踏み出すのが怖い。事前の情報を言っていただけると、すごくうれしい」
この日は、青空が広がり波も穏やか絶好のダイビング日和です。
比嘉「これから船に乗り込むところなんですが、車椅子の方はこのように4、5人でサポートをします。やはり段差があると大変です」
ゲストをサポートするボランティアの数も状況に応じてかわります。
このチームのゲストは4人、知的障害者や体に障害がある方々で私も含めて11人でサポートをします。
比嘉「ちゃんと入ってますか?前は苦しくないですか?大丈夫ですか?」
20分程船にゆられ、ダイビングポイントへ到着です。インストラクターにサポートされながら、ゲストが1人ずつ水の中へ入ります。
男性・愛知県から2回目の参加「最高です。気分もいいし、気持ちいい。水もきれいだし、お魚もたくさんいるからこの大会楽しみです。」
サポートダイバーの海での講習は、ゲストの人たちが休憩している時間を利用して行われます。ダイビングの経験やレベルによってワンスター、ツースター、スリースターと呼ばれる初級、中級、上級コースにわけられます。
1スターサポートダイバーの受講生「ホースがいっぱいあるので、どれがどのホースというのがわからなくて大変です」
インストラクター・新井さん「このマスクつけてもらいます。見えません。もし、怖いっていったら上へあがってもかまいません。OKサイン、バツサイン、移動したい、上がりたいサインを確認してください」
水の中で手を握ってもらうと、とても安心できダイビングを楽しむことができました。
1スターサポートダイバーの受講生「時々OKというサインをくれると安心感がある。それしかサインする方法がないので」
インストラクター・新井さん「腹筋のある状態の麻痺の練習をします。首のほうにいけばいくほど腹筋がなくなっていく。とりあえず、手を使わなくても座っていられるのは腹筋があるから。腹筋がないと後ろに倒れちゃう。」「こっち集まって。サポートしないで、泳いで」
潜ろうとしても足だけが浮いてしまい、なかなかバランスをとることが出来せん。
アイマスクの時とは違って、足を固定されているときには不安定になり少し水の怖さを感じました。実際に体験して、どこに障害があるかによって助けてもらいたい場所が違うということが分かりました。
インストラクター・新井さん「今回の大会はいろんな人が出てきている。視覚障害、聴覚障害、車いすの方たちとか。(その方の)気持ちをわかってあげると、もっともっとケアして、もっともっと気を使うことがわかったと思う」
サポートする側される側も共に喜び合うことのできるダイビング。もちろん障害者の方が楽しめる環境・設備を整えることも重要ですがさらに大切なのは「心の壁を取り除くこと」
互いにコミュニケーションを通して信頼関係を築き上げていくことが本来の「バリアフリーなのだ」と実感しました。
東京から初めて参加した親子「教えてくれてありがとうございます。楽しかったです」「もう感激です。2人で海の中に入れたことで感激なのに、この子がお魚さんを追っかけている姿をみてウルウルです」
こちらが私も含めてサポートダイバーを受講した7人が取得したサポートダイバーのライセンスカードです。資格を得るための講習会は、いつでも日本バリアフリーダイビング協会で受け付けています。
今、県内では、車椅子や高齢者を対象にした「バリアフリー旅行」が注目を集めていて、このようなサポートダイバーのニーズも高まりつつあります。