※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
News Photo

女性に発生するがんのトップ「乳がん」。その発生率は年々増加していて成人女性の23人にひとりが乳がんにかかっているといわれています。もはや珍しい病気ではない「乳がん」

きょうは、乳がん診療にかかわる医療スタッフ全体で患者自身が主体的に治療に取り組める環境を作ろうという動きについてお伝えします。

日本の女性がもっともかかりやすいがん、乳がん。その数は年々増加していて、去年は4万人が乳がんにかかったといわれ、死亡者数も年間1万人を超えました。

乳がんは日頃の努力で発生を抑えられず、初期症状は「無症状」とあって、乳がんから命を守るためには検診による早期発見が最大の鍵です。

この日、乳がんをできるだけ早く見つける手立てとなる乳房専用のエックス線撮影、マンモグラフィの写真の見方を勉強する会が開かれました。

勉強会を開いたのは医師や看護士、技師などで構成する琉球乳腺倶楽部。マンモグラフィは撮影やがんの見つけ方に技術が要求されるため、癌を見極めるポイントを改めて確認します。

岩瀬拓士医師「ここに大胸筋というのが出てきます。よく見るといったんここで消えてまた出ている。どういうことかというと、この癌が大胸筋にくっつき大胸筋を引っ張り出している」「技術を磨いてちゃんと撮ればこういう写真が撮れるし、それが全然できないとこういった写真になってしまう」

参加したのは公立や民間など、病院の壁を越えて集まってきた医者や放射線技師、看護士などの医療従事者です。

宮良球一郎医師「今まで技師は医者のサポート、看護士も医者のサポートしかなかった。そういう意味では患者さんが治っていかない。看護士も独立した知識を持って平等な立場で治療していく。技師もちゃんとした判断をして、我々(医師)が誤らない方向に導く」

先月販売された閉経後の乳がん患者用の新薬の説明会。これも医師や薬剤師だけでなく他の医療スタッフ全体の質を向上させるためのものです。

検査技師「宮良先生と沖縄から乳がん無くそうと。検査技師だけど無くしたい」

看護師「仕事でどうしても関わるので、いろいろと質問できる勉強会があればいいなと思っていた」

医者と医療スタッフが知識を共有し、主治医が患者に寄り添って治療に臨む。宮良医師はこれを「チームワーク医療」と呼んでいます。しかし「チームワーク医療」の認知度はまだ高いとはいえません。乳がん患者の6割がこのシステムをあまりは知らないと答えています。

宮良医師は「チームワーク医療」を知ってもらい、そのメリットを生かして、患者が前向きな気持ちで治療に臨めるようにと診療時間を終えた後、患者の疑問に答える勉強会を開いています。この患者会もチームワーク医療を支える組織のひとつです。

宮良医師「みなさんが受けている乳がんの手術後に受ける定期健診の話。それはなぜやるか。乳がんになった人の転移が最も多い4大場所は?」

与儀さん「肺、肝臓、骨、リンパ節」

宮良医師「そうです。この4つを調べるんです。それを早く調べておいて早く治療する。そうすることによって自分の人生が長く楽しく生きれる」

参加者「乳がんと思って細胞を調べたら腸が原因だったという事もありますか?」

宮良医師「あるけど、乳がんは特徴を持っている。乳がんから転移する人は多い。だけど他のところから乳房に転移することは殆どない」

同じ患者で支えあえる安心感、医師が付いているという安心感が治療に前向きになれる機会になっていると勉強会を歓迎しています。

患者「患者会に入って勉強できるのも利点だけど(仲間がいて支えあえるので)最初生きていこうことが発見できてそれがとてもよかったです」「納得ができないと治療に臨めないと思う。自分もこれをやれば勝てるという、そういう納得という意味で勉強会というのは自分たちの闘う力になっていると思います」

年々増加する「乳がん」患者。不安を抱きがちな患者が、安心して治療に専念できる環境づくりは全国に先駆けて沖縄で始まったものです。

宮良医師「みんなであなたを守っていますよというメッセージを送っている。そのメッセージを与えられるのが『チームワーク医療』だと思います」

宮良医師は来週開かれる乳癌学会で、沖縄で実践している「チームワーク医療」を発表することにしています。