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シリーズでお伝えしている『検証アメリカ軍再編・最終報告』。5回目のきょうは日米で合意した普天間基地の辺野古沿岸部への移設について、これから起こり得る最悪のシナリオを考えます。

2010年から12年、日米両政府は反対グループの猛烈な抗議を受けながらもキャンプ・シュワブから滑走路を伸ばす形で基地の建設を開始。ゲート前では連日抗議集会が開かれる。

2014年立ち入り禁止海域から着々と工事は進み、辺野古沿岸部に1800メートルの滑走路を2本持つ基地がついに完成。その一方で、グアムでの海兵隊の基地建設は自然災害などで予定通り進まず、本島南部の基地の返還は棚上げ状態に。

当初は政府間の最終合意の通り、名護市や宜野座村の集落上空での飛行を避けて訓練していたアメリカ軍ヘリ。

しかし・・・その数年後。アジアの近隣諸国で紛争が勃発し、アメリカ軍が介入。沖縄からも連日のように兵士が派遣される辺野古の2本の滑走路は戦闘機の訓練にも頻繁に使用されるようになった。そして水深の深い大浦湾側には輸送船や軍艦も常駐化。

基地の運用を最優先し、住民の反対を無視する形でついに民間地の上空飛行を強行しはじめたアメリカ軍。

そして・・・伊江島の訓練場に辺野古から最短ルートで兵隊を運ぶため、名護の市街地上空を飛行していたアメリカ軍機が墜落。2004年に宜野湾市で起きた事故以上の大惨事に。

名護市では県民総決起大会が開かれたが、アメリカ軍は地元の抗議に全く耳を貸さない。そして日本政府は『日米安保』を最優先し、県の対応は後回しにされる。

自衛隊と共同使用が始まった嘉手納基地と巨大な軍事要塞と化した辺野古。沖縄には、機能が強化された基地とこれまで以上の騒音だけが残る結果となった。

宮城「今のVTRを見ますと、県民として恐怖に駆られる一方で、『本当にこんな最悪の事態になる可能性があるのか』という疑問も沸いてくるのですが、実際にこれからこんな事態になることが考えられるのでしょうか?」

岸本「ええ、もちろん今のVTRはまさに最悪のシナリオで、起こってほしくないことばかりなのですが、最終報告の内容やアメリカ軍のこれまでの行動を見てきますと起こらないとはいえないことばかりです。今回の最終合意の問題点についてまとめました」

額賀長官「地域住民の上空を飛ばないということが大原則である。その上に立ってこの2本の滑走路の考え方を生み出した」

日米で合意したこの計画では、着陸と離陸とで2本の滑走路を使い分け、名護市や宜野座での民間地の上空飛行を避けるとしています。

しかし・・・

宜野湾市基地政策課職員「(上空飛行禁止は)厳しいと思います。日本政府が飛ばないとかそういう話をされているようですけど、実際基地を作られたら(アメリカ軍が)どう運用するかは分からない」

辺野古で開かれた住民説明会で、アメリカ軍は約束を守らないと何度も強調した宜野湾市の職員。

実際、宜野湾市の基地監視ボランティアが取った統計では、普天間基地のアメリカ軍機はすべての方向に縦横無尽に飛行していることがわかります。

これを辺野古の新しい基地に当てはめてみると、住民が最も心配する最悪のシナリオの通りとなります。

豊原区民「どんなに反対しても、上の方ではいくらお前たちが反対してもこっちでやるんだよという態度で来てますでしょう。そうなるともう・・」

またV字型滑走路は、北からの風を大前提に滑走路の向きなどが設計されていますが、地元の漁師は異を唱えます。

地元の漁師「真っ赤な嘘だよ。(Q:いつも北風ではないですか?)違います。西もある」

現役のパイロットも自然相手の話で風向きを特定方向に限定する発想に疑問を示します。

エアードルフィン運航部長「通年で北向きの滑走路を使うというのはありえない話です。そういう意味で議論されない反対側の南向きの滑走路を使うときはどうなんですかという話は当然出てくると思います」

宜野湾市基地政策課職員「米軍サイドのやり方ですから(飛行経路が)守られるとは思いません」「(民間上空を)飛ばないということはまずないでしょう」

過去のアメリカ軍のやり方を見てきた宜野湾市の職員や専門家がそろって疑問を示す辺野古での基地建設。

しかし、政府と名護市が今回交わした合意書には地元上空の飛行ルートを回避する方向で対応すると、努力目標が示されているだけに過ぎません。