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最終報告で決定した嘉手納基地以南の返還。それは普天間基地など6基地の全面または一部返還であり、面積はおよそ1600ヘクタールに及びます。しかし、その返還には課題は山積みです。

一、雇用

「応募者収入と安定、それが一番です」「やっぱり安定しているし、雇用の条件がいい」

今週月曜日、今年度の基地従業員の募集が始まりました。失業率8.2%という県内の状況。県民はより収入や安定を求めて、応募20倍にもなる狭き門を叩きます。

一方、返還が決まった6つの基地で現在働いている基地従業員の数は、およそ4000人。実に全体の基地従業員の半数近くに及びます。このたちはどうなるのか・・・。

全駐労・與那覇書記長「全駐労米軍再編が具体的になるにつれて生活不安が高まっている状況にあります」

雇用への影響やその補償などが最終報告に一切明記されていないことから、基地従業員で作る全駐労では早急な対応を求めています。

全駐労・與那覇書記長「国が雇用主でありますので、雇用主の義務として基地労働者の雇用身分にはしっかりと責任をもって職業訓練を始めとする細かな対策をしっかりやっていただきたい」

二、跡地利用

儀間市長「全面返還は歓迎・評価したい」

今回の再編で、振って沸いたように返還が決まった浦添市の牧港補給地区。274ヘクタールという広大な土地が返ってくる一方で、そこにもさまざまな問題があります。

儀間市長「基地の跡地が再生産して機能し、経済活動が行なえるまでは地権者補償をしてほしい」

先日、返還決定を目の前に浦添市はアンケートを実施。その結果、市民は即時返還を望み、跡地を公園やリゾート施設という声が多かったのに対し、地主は商業施設や行政施設など収入が見込まれるもの、さらに跡地利用計画後の返還を望むと明らかな意見の相違が出ました。

浦添市企画課・宇根さん「地主と合意形成を得られるような計画を作っていかなければならない」

1977年に一部返還、その10年後全面返還となった新都心地区。28年の歳月を費やし去年、事実上の完成となりました。今回、浦添市は、そのおよそ1.5倍の基地返還だけに相当な年月と予算を視野に入れなければなりません。

浦添市企画課・宇根さん「5〜6年で一気に整備できるのかというのは厳しい。これまでの事例をみると。」「(地主)の生活の補償のためにも、使用収益をあげられるまでの給付金等は市としても国に要請していく」

三、地主

最終報告で返還や移転が決まった今も、この地域は軍人軍属向け住宅の建設が次々と行なわれています。広いリビングにバスルームが3つ、家賃は30万円から40万円といわれています。

近年、沖縄経済に占める米軍基地関連収入、いわゆる思いやり予算の割合は5%にまで減少していますが、こうした軍人軍属向けの住宅収入は年間およそ86億円と、その依存度はかなりの額になっています。

全沖縄貸住宅協会・喜屋武会長「土地がとられたから、生きるためには米軍がし住宅を作って賃貸したらどうだと」

ピーク時には11000戸の貸し住宅があったといいます。現在登録されているのはおよそ4800戸ですが、それでも年々空き家も増えているのが事実。さらに、17000人とも言われる軍人軍属とその家族の移転に伴い、今後ますます需要は少なくなる恐れが地主の間では広がっています。

全沖縄貸住宅協会・喜屋武会長「そこ(空いた土地)はね何も県も国も責任を感じていない。ほったらかし。これでは不安でたまらない」