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稲嶺知事のヘリポート発言は、日米が合意した沿岸案を県が黙認したサインと政府に受け取られる懸念があり、波紋を呼びそうです。

防衛施設庁の北原巌男長官はアメリカ軍再編の日米の最終合意事項を関係市町村に説明するためきょうから沖縄を訪れています。

北原長官はあさってまでの日程で県や15の関係市町村に日米の最終合意事項を説明します。会談した名護市の島袋市長は、1800メートルに及ぶ滑走路に反発。稲嶺知事は辺野古沖の従来案以外認められないとする考え方を示しました。その一方で、稲嶺知事は緊急的措置として、キャンプシュワブ内にヘリパッドを建設し暫定的に使用する案を政府に提示しました。

北原長官との会談の中で飛び出したキャンプ・シュワブ陸上への暫定移転案。知事はこれまでの政策を変更したのか、この後、記者解説で検証します。

アメリカ軍再編の説明で沖縄入りしている北原防衛施設庁長官と会談した稲嶺知事は、普天間の危険性を除去するための緊急措置としてキャンプ・シュワブの兵舎地区に暫定的なヘリパッドを建設する案を提示しました。

今月1日に日米が最終合意した在日アメリカ軍再編計画。このうち県民の悲願の普天間返還は、キャンプ・シュワブ沿岸部への移設でした。

これは外務省が公開した図面です。これをそのままキャンプシュワブ沿岸部にのせてみました。ごらんのように施設はこの長島の近くまで広がり、辺野古崎をすっぽり覆っています。そして施設いっぱいに伸びた2本の滑走路の長さは1800メートル。オーバーランを含めての長さですが、10年前のSACO合意は1300メートルでしたから、500メートルも長くなりました。

この合意案に対してきょう、県が新たな案を政府に提示したと言うことです。県は、きょう来県した北原施設庁長官に対して、キャンプ・シュワブ兵舎地区にヘリポートを建設し、普天間基地のヘリ基地機能を早期に移転させるという要望を提示しました。この埋め立て部分についてはあくまでも反対で、滑走路を造らずに陸上だけにヘリ部隊を収容する形です。

大きな変化ですよね。稲嶺知事は、15年問題を解決させるという公約を掲げていましたが、公約違反にはならないんでしょうか。

そうした疑問について稲嶺知事はこう説明しています。

(Q.実質的な政策転換を図ったとは?)稲嶺恵一知事「全くそうは思っておりません」「移設問題とは別に、その(普天間基地の)危険性を除去するための緊急的措置が講ぜられることが、今日的最重要課題と認識しているわけです」

稲嶺知事は、15年問題はあくまでも従来案に対する条件で、それは政府が従来案を無くしたことで一緒に無くなった。そして15年問題というのはそもそも基地の固定化を避けるという理念から条件づけたもので、今回も『あくまでも暫定的措置』とすることでこの理念を守るということです。そしてその方法についても、海にはみ出さずに基地の陸上だけにつくるので基地の新設にもあたらないということです。更に稲嶺知事はヘリ墜落事故後、普天間基地の危険性の除去をずっと言い続けていて、今回は『移設問題とは別問題』として提案に踏み切りました。

しかしそうであれば、去年10月に中間報告が出てからこの間、もっと早く提示していれば最終報告にも反映できたのではという感じもしますが、どうなんでしょうか。

県は、日米が最終的に合意した場合に初めて『キャンプ・シュワブ兵舎地区をつぶしていい』という証明になる。ですから最終合意を、言わば待っていたということです。中間報告の直後に稲嶺知事の政策ブレーン比嘉参与が知事に提案していました。

ただ、このタイミングでの提案に政府が簡単に『そうですか、それでは』とのむとは思えないですが、いかがですか。

きょう県の要望を受けた北原施設庁長官は、何も答えなかったと言うことです。政府からすると、『今頃なんだ』という感もあるかもしれません。しかし『とりあえず工事に入っていいんですね』と受け止める可能性もあります。政府は今回、従来の辺野古沖埋め立て計画を見直す際に、『実現させなければ意味が無い』と、その実現性を強調してきました。それも含め、在日アメリカ軍再編全体を実行に移すことを優先的に考えると、『県の要求を単に突っぱね、敵対することは得策ではない』ということで、政府がのむことも考えられます。更に県には、『海兵隊が将来的に沖縄から退く』、だから埋め立てによる滑走路の建設を先送りにでき、結局、埋め立てが無くなることもあるのではとの期待感もあります。

稲嶺知事は、連休明けにも小泉総理と会談したいとの姿勢で、そこで政府の考えがより明らかになると思われます。