アメリカ軍再編 最終報告まとまる
昨夜ワシントンでまとまった在日アメリカ軍の最終報告。会見に臨んだ日米防衛・外務の4人は沖縄の負担軽減のためと口を揃えますが、沖縄側はそう捉えてはいません。また関係する県外の自治体でも反発の声が高まっています。まずはこのあとすぐ最終報告に盛り込まれた沖縄に関する事項を詳しくお伝えします。
稲嶺知事「この決定は容認できない」
普天間基地は全面返還、代わりのヘリ基地を辺野古に建設。滑走路はV字型で辺野古崎に覆う形で1800メートルの長さがあり、大浦湾と辺野古湾の水域も埋め立てる計画です。
一方、宜野湾市では県内移設ありきでは問題の解決にならないと反発しています。
普天間基地の他に、嘉手納基地より南で4つの施設を返還。浦添市の牧港補給基地は全面返還され、那覇軍港も全面返還されるものの、浦添沖に新たな施設を建設するとしています。北谷町のキャンプ桑江と陸軍貯油施設のうち第一桑江タンクファームを全面返還。そして、キャンプ瑞慶覧の一部を返還するとしています。海兵隊8000人を2014年までにグアムへ。移転人数は家族を含めて1万7000人。移転にかかる費用は6割、7100億円を日本が負担。このグアム移転が実行されなければ、嘉手納以南の返還は進まないとしています。
嘉手納基地での戦闘機訓練を本土の自衛隊基地に分散。戦闘機の訓練の一部は三沢や小松など本土の自衛隊基地に移転。しかし、その嘉手納基地とキャンプハンセンは、ことしから自衛隊とアメリカ軍が共同訓練に使用。危険の増加、騒音の激化を懸念する声が挙がっています。
日米政府は最終報告の合意を「新たな日米同盟」だと強調している。
「ワシントンで取材に当たった田畑さんと中継が繋がっています。田畑さん、在日アメリカ軍の再編については沖縄は勿論日本国内では大きな関心をもって伝えられているんですが、アメリカではどの様に伝えられていますか。」
田畑ANNワシントン支局長「残念ながらアメリカのメディアはCNNを始め3大ネットワークを含めテレビはどこも報じていません。アメリカから見ると世界中のアメリカ軍再編の中で日本に関する部分もワン・オブ・ゼムということなのかも知れません。」
「2プラス2直後の額賀長官と麻生大臣の表情は如何でしたか。」
田畑ANNワシントン支局長「額賀長官は沖縄の海兵隊のグアム移転経費の交渉に先週、ワシントンを訪れたばかりでした。言葉の上ではきょうが就任からちょうど半年の節目の日に当たると語っていましたが表情を見ている限り、その合意は果たした先週の方が、表情にも緊迫感や高揚感があったことは否めません。一方、麻生大臣は初めての2プラス2だった事もあって終始にこやかでした。会見でも「これはゴールであると同時にスタートでもある」と身を引き締めていました。」
「今回の再編で新たな訓練の移設先となっている地元からは多くの反発の声が上が出ています。特に沖縄は普天間基地の移設方法について地元の反発がでていますがアメリカ側どういった認識なのでしょうか。」
田畑ANNワシントン支局長「アメリカからは結局「沖縄」という言葉は出てきませんでした。唯一発表された共同声明には「沖縄を含む地元の負担を軽減する日米双方の決意が謳われてはいます。しかし、ラムズフェルド長官が「実施が極めて重要だ」という言い方で、これがアメリカの本音でしょう。地元の説得は日本政府の責任において行うべきだと突き放した格好です。今回の最終報告自体、沖縄など地元の同意がないままアメリカとの合意を優先させた日本政府にまたしても重い課題が残った形です。」
「はい。わかりました。田畑さんありがとうございました。ANNワシントン市局長の田畑さんに伺いました。」
最終報告のポイントをまとめました。まず、再編費用について国内は全額。その上にグアムへの移転費用までおよそ6割も日本が負担することになったということ。
そして、嘉手納基地より南の基地の返還や海兵隊8000人の削減が具体的に記されましたが、それは普天間基地の県内移設に懸かっていると。さらにグアムへの移転費用に関する日本の資金的貢献に懸かっているとまで釘を刺しています。
そして、全体的に日米同盟の強化がうたわれていて、アメリカ軍基地、自衛隊基地両方について、日米共同使用、そして共同訓練の強化が記されています。
今回の最終合意で日米は何を得たのか、アメリカ軍の戦略に詳しい琉球大学の我部教授に聞きました。
我部政明教授「アメリカが得たのは、まずお金を得たこと、特にグアムへ新しい基地を造ることができたと」「グアムの戦略拠点化がいっそう進むと。しかもその一部を日本政府が払ってくれるということです」「日本が得たものは、アメリカと付き合うと言う意味ではアメリカの要求をほぼ全部丸呑みしたと言う意味では、アメリカとの関係はしばらくの間良いと」
また、嘉手納基地より南の基地の返還についても、そのほとんどが10年前のSACO合意で決まっていたことと指摘します。
我部政明教授「確実に全面返還されるのは浦添だけですね、浦添の牧港だけですね、普天間は県内移設、那覇軍港も県内移設」Q.結局は日米交渉で日本が勝ち取ったものではないと?「そういうことですね。(海兵隊の)削減は決して沖縄の負担軽減のためにアメリカがやったのではなくて、アメリカの戦略上、海兵隊の展開を変更したということです」
我部さんの今の指摘で大事なところは、アメリカ側が普天間基地の県内移設を実現するために、基地の返還と8000人の削減をセットにし、さらにその移転費用を日本に6割も持たせたということなんです。
また、最終合意文書には、「普天間の返還を実現するために緊急時における民間施設の使用を改善する」と書かれているのが気になりましたが、我部さんはこう語ります。
我部政明教授「(民間空港を)ただ使えるだけじゃなくてそれを使える状態を日本政府が総力を上げて支援していくんだと」「沖縄の人の『反対』という声は当然のこととしてもみ消されるだけでなくて、更にその飛行場の使用に関して」「日本政府が責任を負うと言うことになりうるわけです」
日本の民間施設についてアメリカ軍は日米地位協定で使用できることになってはいますが、これについて日本が積極的に支援することが、普天間の返還の条件だとまで言っているわけです。
自衛隊との共同使用が記されたのはカデナとハンセンの2ヵ所ですが今後はどうなんですか。
政府は今後、県内最大の基地・北部訓練場や、キャンプシュワブ、ホワイトビーチなどに拡大を検討する方針には変わりありません。また、最終合意ではキャンプハンセンで陸上自衛隊が年内にも実弾射撃訓練を始めることを盛り込んでいますが、これによってハンセンでの訓練が全体としては減るのかについて政府は「わからない」と答えています。
嘉手納基地とキャンプハンセンの共同使用には周辺自治体は強く反対していますよね。
はい。結局、戦後広大なアメリカ軍基地ができて、県民が少なくとも本土並みに基地のない平和な島を願って復帰したら、基地はそのままで自衛隊が入ってきて、今度の最終報告では自衛隊とアメリカ軍による共同の基地ができると。これは県民の願いと逆行している印象が強くあり、県民の反発が予想されます。
今回の最終報告に対して県外の自治体の反応です。
岩国市長「地元との協議が十分に尽くされていませんし、内容についてもやはり住民投票、あるいは市長選挙の結果示された市民の意思というものも反映されていませんので、納得できるものではないと、容認できるものではないと思います」
Q.市長ご自身が最終的に判断する最大のポイントは?
千歳市長「やはり騒音ね。騒音、治安、それから事故、事件、それらのことがないかと(不安に)思ってます」
千歳市民「もうちょっとちゃんと、(米軍が)千歳に来るんだったら、住んでいる人たちに説明してほしいなと思いますね」
やはり反発、政府への不信感が強いようですね。沖縄では稲嶺知事の今後の対応が注目されますが・・・
稲嶺知事はあさってにも施設庁の北原長官が来県し、説明を受けた後正式にコメントするとして、きょうの会見ではほとんど語りませんでしたが、県は、普天間基地の移設案に反対を表明したうえで、キャンプシュワブ兵舎地区へのヘリ基地機能の移転を、政府に求める方針をほぼ固めています。これは、普天間基地の危険性を一日も早く除去するということで、あくまでも暫定的な措置として求めるものですが、政府がこれをすぐ受け入れるとは考えにくく、あさっての稲嶺知事の発言に注目が集まります。
さて、ステーションQでは今回のアメリカ軍再編の最終報告を受けて来週月曜日から15日まで6回にわたって取りまとめの中身を検証する企画を放送します。そこで、テレビをごらんの皆さんもご意見をお寄せください。日米両政府はこれで沖縄の大きな負担の軽減につながるとしていますが、本当にそうなると思いますか?そして2014年までの返還は実現可能だと思いますか?様々なご意見、Eメールアドレスとファクシミリで受け付けています。このあと、このタイミングに嘉手納基地で起きた事故を詳しくお伝えします。
昨夜ワシントンでまとまった在日アメリカ軍の最終報告。会見に臨んだ日米防衛・外務の4人は沖縄の負担軽減のためと口を揃えますが、沖縄側はそう捉えてはいません。また関係する県外の自治体でも反発の声が高まっています。まずはこのあとすぐ最終報告に盛り込まれた沖縄に関する事項を詳しくお伝えします。
稲嶺知事「この決定は容認できない」
普天間基地は全面返還、代わりのヘリ基地を辺野古に建設。滑走路はV字型で辺野古崎に覆う形で1800メートルの長さがあり、大浦湾と辺野古湾の水域も埋め立てる計画です。
一方、宜野湾市では県内移設ありきでは問題の解決にならないと反発しています。
普天間基地の他に、嘉手納基地より南で4つの施設を返還。浦添市の牧港補給基地は全面返還され、那覇軍港も全面返還されるものの、浦添沖に新たな施設を建設するとしています。北谷町のキャンプ桑江と陸軍貯油施設のうち第一桑江タンクファームを全面返還。そして、キャンプ瑞慶覧の一部を返還するとしています。海兵隊8000人を2014年までにグアムへ。移転人数は家族を含めて1万7000人。移転にかかる費用は6割、7100億円を日本が負担。このグアム移転が実行されなければ、嘉手納以南の返還は進まないとしています。
嘉手納基地での戦闘機訓練を本土の自衛隊基地に分散。戦闘機の訓練の一部は三沢や小松など本土の自衛隊基地に移転。しかし、その嘉手納基地とキャンプハンセンは、ことしから自衛隊とアメリカ軍が共同訓練に使用。危険の増加、騒音の激化を懸念する声が挙がっています。
日米政府は最終報告の合意を「新たな日米同盟」だと強調している。
「ワシントンで取材に当たった田畑さんと中継が繋がっています。田畑さん、在日アメリカ軍の再編については沖縄は勿論日本国内では大きな関心をもって伝えられているんですが、アメリカではどの様に伝えられていますか。」
田畑ANNワシントン支局長「残念ながらアメリカのメディアはCNNを始め3大ネットワークを含めテレビはどこも報じていません。アメリカから見ると世界中のアメリカ軍再編の中で日本に関する部分もワン・オブ・ゼムということなのかも知れません。」
「2プラス2直後の額賀長官と麻生大臣の表情は如何でしたか。」
田畑ANNワシントン支局長「額賀長官は沖縄の海兵隊のグアム移転経費の交渉に先週、ワシントンを訪れたばかりでした。言葉の上ではきょうが就任からちょうど半年の節目の日に当たると語っていましたが表情を見ている限り、その合意は果たした先週の方が、表情にも緊迫感や高揚感があったことは否めません。一方、麻生大臣は初めての2プラス2だった事もあって終始にこやかでした。会見でも「これはゴールであると同時にスタートでもある」と身を引き締めていました。」
「今回の再編で新たな訓練の移設先となっている地元からは多くの反発の声が上が出ています。特に沖縄は普天間基地の移設方法について地元の反発がでていますがアメリカ側どういった認識なのでしょうか。」
田畑ANNワシントン支局長「アメリカからは結局「沖縄」という言葉は出てきませんでした。唯一発表された共同声明には「沖縄を含む地元の負担を軽減する日米双方の決意が謳われてはいます。しかし、ラムズフェルド長官が「実施が極めて重要だ」という言い方で、これがアメリカの本音でしょう。地元の説得は日本政府の責任において行うべきだと突き放した格好です。今回の最終報告自体、沖縄など地元の同意がないままアメリカとの合意を優先させた日本政府にまたしても重い課題が残った形です。」
「はい。わかりました。田畑さんありがとうございました。ANNワシントン市局長の田畑さんに伺いました。」
最終報告のポイントをまとめました。まず、再編費用について国内は全額。その上にグアムへの移転費用までおよそ6割も日本が負担することになったということ。
そして、嘉手納基地より南の基地の返還や海兵隊8000人の削減が具体的に記されましたが、それは普天間基地の県内移設に懸かっていると。さらにグアムへの移転費用に関する日本の資金的貢献に懸かっているとまで釘を刺しています。
そして、全体的に日米同盟の強化がうたわれていて、アメリカ軍基地、自衛隊基地両方について、日米共同使用、そして共同訓練の強化が記されています。
今回の最終合意で日米は何を得たのか、アメリカ軍の戦略に詳しい琉球大学の我部教授に聞きました。
我部政明教授「アメリカが得たのは、まずお金を得たこと、特にグアムへ新しい基地を造ることができたと」「グアムの戦略拠点化がいっそう進むと。しかもその一部を日本政府が払ってくれるということです」「日本が得たものは、アメリカと付き合うと言う意味ではアメリカの要求をほぼ全部丸呑みしたと言う意味では、アメリカとの関係はしばらくの間良いと」
また、嘉手納基地より南の基地の返還についても、そのほとんどが10年前のSACO合意で決まっていたことと指摘します。
我部政明教授「確実に全面返還されるのは浦添だけですね、浦添の牧港だけですね、普天間は県内移設、那覇軍港も県内移設」Q.結局は日米交渉で日本が勝ち取ったものではないと?「そういうことですね。(海兵隊の)削減は決して沖縄の負担軽減のためにアメリカがやったのではなくて、アメリカの戦略上、海兵隊の展開を変更したということです」