興南「復活めざしバットを振り続ける4番」
チーム一の努力家と誰もが認める4番バッター。しかし、春の大会ではバッティングの不調でベンチメンバーから外れました。それでも、最後の夏での活躍を目指し、あきらめずにバットを振り続けます。
興南 石川駿介主将「自分たちは甲子園行くためではなくて甲子園で勝ち残るチームを目標にしているので」
試合を想定した緊張感のある練習。3月に完成した新しいグラウンドで選手たちが躍動します。甲子園と同じ内野の黒土の上、ショートには守備範囲の広い副キャプテン・久高学士(まなと)。
そして県内の野球場で初めて人工芝が敷かれた外野には、センターを守るキャプテンの石川駿介、2年の時からスタメン、1番や4番など、どの打順でも打てるレフトの仲田陽など、盤石な守備でリズムを作ります。
興南 石川駿介主将「一つひとつのプレーに対して重みを感じて少しでも弱点を減らして隙のない野球を目指して頑張っている」
今年の春は決勝でエナジックに敗れ、準優勝。相手を上回る7本のヒットもチャンスで一本が出ず、無得点に終わりました。そして、抜群のコントロールと、多彩な変化球が武器のエース・田崎颯土はひじを痛め、登板がありませんでした。
興南 田崎颯士選手「自分なしで決勝まで行ってくれたので良かったとは思うけど夏は自分が投げて抑えてやろうと思った」
しかし、夏に向け万全の状態になって戻ってきました。ストレートの伸びが新たな武器となり、経験豊富な左腕が投手陣を引っ張ります。
興南 田崎颯士選手「初戦からギアマックスで会場のみんなを驚かせるようなピッチングをしたい」
そして、時折大きな声を飛ばして力のこもったプレーを見せるのがファーストを守る入沢京生。「何事にも全力」がモットーです。
興南 入沢京生選手「自分に関わってくれた方々に恩返しできるような夏にしたい」
去年秋の大会では、1回戦で4番ファーストで先発出場し、先制のタイムリーヒットを放つなど勝利に貢献しました。しかし、2回戦以降は出場機会がなくなり、春の大会ではベンチメンバーにも選ばれず。入沢は「4番」から「メンバー外」となりました。
興南 入沢京生選手「すごく自分の中で悔しくて、メンバーに入れないということはそれなりに理由があると思うので」
寮に入っている選手たちが、夕食後にバットを振ったり、シャドウピッチングをしたりする「夜間練習」。入沢は、変化球への対応やミート力を課題にして、汗を流しながら力いっぱいバットを振ります。
消灯時間が決まっている中、時間を見つけて、夜間練習後も1人残ってバットを振る姿は入沢が1年生の時からチームメイトの誰もが見てきました。
興南 石川駿介主将「入沢がスイングしているのはチームの中で当たり前の風景になっていて、夜間練習で自分の倍くらい入沢が目いっぱい振っているのを見ると入沢に負けないぞ!くらいの気持ちで振りたいという気持ちになる」
興南 仲田陽選手「気持ちは一番ある選手だと思っているので、秋4番を任されて春はスタンドになって一番悔しい思いをしていると思う」
興南 入沢京生選手「メンバー外れて仲田からは「絶対ここであきらめたり腐ったりするなよ」と一言言われて絶対夏はベンチ入ってやろうと思った」
壁にぶち当たっても折れることなく努力を継続する。「メンバー外」から再び「4番」になるために。チームが認める努力家は、自慢のフルスイングで球場を沸かせるその時をめざしてバットを振り続けます。
興南 入沢京生選手「最後の最後まで何があるか分からないので、自分に与えられた一つのチャンスを無駄にせず夏のベンチに入れるように頑張りたい」
興南 仲田陽選手「最終的な目標は甲子園出場。甲子園での勝利を掲げてチームでやっているのでまずはこの夏を全員で勝ち切りたい」
興南 石川駿介主将「夏の大会も気負わずどこよりもやってきた練習を信じて自分の力を発揮したい」
激しいメンバー争いの中で、選手同士で刺激し合い、パワーアップした興南が、2018年以来の甲子園勝利を目指して、沖縄大会に挑みます。
後悔しない夏にしたいとバットを振る姿は、例え結果が出ていなくてもチーム全体に大きな刺激となっているようですね。それを見ていたチームメイトが、気にかけて腐らないように声をかけるのも良い関係性だと思いました。