宮古「イチローに甲子園出場の報告を」
去年12月にイチローさんが指導にやってきた宮古高校。教えてもらったことを胸に、島から初の甲子園をめざします。
3年生は選手3人とマネージャー2人の5人。下級生が主体のチームを引っ張っています。夏に向けてのスローガンは「下剋上」です。
宮古 内間好晟(こうせい)選手「去年の先輩たちを超えるというのと、一回秋でどん底まで落ちたのでそこから先輩たちを超えるくらいはい上がるという意味でつけた。」
去年の夏はベスト4、準決勝で甲子園ベスト8の沖縄尚学に惜しくも敗れましたが、宮古島から初の甲子園まであと一歩のところまで近づきました。しかし、代替わりしてからの秋の大会は八重山商工に敗れ、まさかの1回戦敗退。だからこそ、今の代は去年の3年生に近づき、超えたいという思いで練習に打ち込んできました。
こうした中去年12月、プロ野球、そしてメジャーリーグで活躍したイチローさんが宮古高校を訪問。バッティングでは、ランナーを進める攻撃を課題に掲げる中、逆方向へのバッティングを心掛ける練習を教わり、「イチローティー」という名前で、ほぼ毎日行っています。
宮古 川満悠雅主将「体の開きを抑えながらしっかり下半身使ってバットを内から出して右方向に強い打球を打つ。」
そしてレクチャーを受けたのはもちろん野球の技術だけではありません。イチローさんに練習前から強く指摘されていたのが、「声」。「それではもう一歩先には行けない」と声で「自分を表現」する大切さを教えられました。今では、内気な性格関係なく練習を盛り上げることを選手たちが意識し、活発な練習になっています。
宮古 川満悠雅主将「自分のことよりチームのことを優先してやっていこうと話し合っていて、全員で意識上げながら盛り上げている。」
憧れのレジェンドの熱血指導に、選手たちはこれまでの生活と重ね合わせながらそれぞれ多くのことを吸収していました。
宮古 仲宗根生真(いるま)選手「ピッチャーとしてやっているけど「気持ちで負けないで堂々とプレーする」というアドバイスが一番心に響いた。」
宮古 内間好晟選手「時間をかけて苦労しながらでも自分で工夫して頑張るからこそ手に入れられるものがあると言っていた。」
練習への向き合い方、一日の過ごし方についてもレクチャーを受け、日常生活から見直したことで責任感や自覚が増した宮古ナイン。そして、イチローさんのイズムはマネージャーにも伝わっていました。
友利心温(こはる)さん「イチローさんがマネージャーさんの意見を大切にしてくれる人だったので、監督の視点とも選手の視点とも違うから言っていいよと言ってくれて、悠雅とかも「思ったことがあったら言って」と最近も言われて。」
宮古 川満悠雅主将「コミュニケーションを取ってくれるので自分たちも練習どうしてやったらよいかとか雰囲気どうかとか話す。」
練習をより効率よく行うためにコミュニケーションが増え、今までマネージャーに任せきりだった片付けも選手たちが手伝ってくれるようになりました。
宮古 川満悠雅主将「2人に甲子園球場でスコア書いてもらうというのを自分は思っていて、その2人にスコアを書いてもらうために自分たちが甲子園行って恩返ししたいです。」
友利心温さん「いつもあまり言ってくれない」
宮平琴梨さん「うれしいです、言われたら甲子園でもスコアを書きたい」
選手たちだけでなく、チーム全体で一体となった宮古がめざすは去年のベスト4超え、イチローさんに「甲子園出場」の報告です。
宮古 仲宗根生真選手「今できることをしっかり磨いて試合でも活躍できるようにして甲子園を目指したい。」
宮古 内間好晟選手「イチローさんにはありがとうございましたと言いながら目標達成できましたと力強く言いたい。」
宮古 川満悠雅主将「イチローさんに甲子園出場したいという報告ももちろんだけど、たくさんの人たちに支えられて励まし合いながらここまでやってきたので、自分たちに関わってくれた人たち全員に甲子園出場を報告して、一番の感謝を伝えたいです。」
この夏は「下剋上」で飛躍を見据える宮古。去年成し遂げられなかった「島から初の甲子園」へ。先輩たちの思いも胸に戦います。
宮古(集合)「行くぞ甲子園!」
宮古島は、イチローさんがかつてオリックス時代にプロ野球キャンプで訪れた思い入れのある場所だそうです。イチローさんは、宮古の練習会場で一番最初に挨拶をした時に、開口一番「声が小さい」と、強く指摘していましたが、「島の性格」も言い訳にならないと感じた選手たちは今では頼もしい姿になりました。
イチローさんが指導に訪れた2日間で、選手・マネージャーが吸収したことは、きっとこの夏だけでなく、ここからの人生でも貴重な経験になったのではないでしょうか。
あすは那覇国際です。