八重山農林「女子マネとして追う夢・おれたちのみそ汁」
部員たちのパワーのひみつは、八重農だからこその特別なものと、マネージャーとして高校野球の夢を追いかける女子の存在でした。
県立八重山農林高校。チームの強みは「打撃」。4番に座るチーム1のパワーヒッター西里秋萌(こすも)選手は、地区大会などでこれまで2本のホームランを放っていて、クリーンナップを任される選手たちも、この夏に向けて打撃の精度を上げてきています。
打撃力向上と体力アップを支える八重農にはあるひみつがありました。
渡久山朝海マネージャー「美味しく飲んでほしいのでその思いを込めてつくっています」
それが、「八重農SDGsみそ汁」。具材は自分たちで収穫した野菜やたまごなどですが、実は、八重農の定期イベントで販売できなくなった規格外のものを、学校から譲り受けて使っているんです。
マネージャーと先生で入部から毎日、部員の胃袋を支えてきました。
田盛悠祐副主将「フードロスにも繋げるような取り組みで(みそ汁に)入れてもらって、自分たちもその栄養をたくさん摂っています。体重が62キロで入学してきて、今では74キロまで12キロ上がった」
上地凛汰主将「(みそ汁を飲むと)よく足つらないって聞いていて、自分も試合中に足つったことがなくて、みそ汁のおかげで球速140キロまで出るようになって感謝しています」
遠征費などの経済的な負担を少しでも軽減しようと、練習終わりのプロテインの代わりにアツアツの味噌汁を始めました!
上地凛汰主将「熱い!」
幸地晴也選手「約2年半飲んできたものなので、最後の夏まで飲みきりたい」
田盛悠祐副主将「最高、完食!ごちそうさまでした」
武内凛乃マネージャー「やっぱり体作りからが大事だと思うので、体から作ってパワーも付けてほしい」
八重農ナインを支えるのはマネージャーのみそ汁だけではありません!おたまをバットに持ちかえて部員たちにノックを打つのは、マネージャーの武内凛乃さん。ハイポニーテールをなびかせながら練習でも一役買っています
武内凛乃マネージャー「なるべく早い打球がいいかなと思って、一応速い打球を打てるようにしています」
たま~に選手も取れないほどの球を打つという凛乃さん。実は一歳上の兄に憧れて小学4年生から野球を始め、中学卒業まで男子に混ざってプレーしていました。
進路を選択する時、県内で唯一の女子野球部がある南部商業へ進学するか、地元・石垣島でマネージャーの道を選ぶか、悩みました。
武内凛乃マネージャー「最初は南部商業に行って野球を続けようと思ったんですけど、寮もなくて親元離れるとなったら色々大変かなと思ったので、前から高校野球のマネージャーに憧れてて高校野球のマネージャーやってみたいと思ったのが一番大きいです」
保里拓夢選手「(小学生時代)男子に混ざりながら活躍していたので、まだ野球も出来ると思うんですけど、マネージャーの道を選んだので驚きが大きかったです」
少年野球ではスタメン出場の経験もあるほど周囲も認める実力でしたが、選手にはなれないから、高校野球の夢はマネージャーとして追いかけることに決めました!
武内凛乃マネージャー「やっぱりノック打ってるときとか、みんなが楽しそうにやってるときとかに、自分もプレーヤーとしてやりたいなと思った時もあります。今のポジションに満足?してます!」
それでも今の道を選んだことに後悔はないと話す凛乃さん。部員もその存在の大きさを感じています。
田盛悠祐副主将「部員数が少ない中で、マネージャーに打ってもらうことで自分たち全員が球を受けられるし、みんながより成長できるようにしてくれる協力的な人です」
おれたちだけのみそ汁パワーとマネージャーのノックを受けて、八重山農林、この夏に挑みます。
上地凛汰主将「みそ汁だったり成績まとめてくれたり、こんな個性強い部員を裏でまとめてくれてとてもありがたいです。一つでも多く勝てるようにがんばります」
保里拓夢選手「自分たちと一緒に入学してここまで一緒にやってきたので、勝利のスコアを書かせるように頑張りたい」
武内凛乃マネージャー「県大会では勝ちスコアが書けるように毎日サポートしてます。3年生にとっては最後なので楽しんで一戦一戦大事にして頑張ってほしいです」
「全力野球!おー!」